
倉西透さんと賢翔君
5月4日から11日まで文字通り弾丸のような速さと勢いで開催された弾丸ツアー2008。5日間のブラジル滞在中、それぞれが自分の知識、技術、感性を基に本場のフットサルに触れ、これからの課題と目標を胸に日本へと帰国した。
参加者の中でも一際情報収集に余念のなかったのが倉西透さん。倉西さんは一人息子の賢翔君(中1)と一緒にツアー史上初の親子参加をしただけではなく、数十年前にブラジルに渡った叔父さんとそのご家族にも今回初対面を果たし、弾丸ツアー以上(本人曰く『ダイハードツアー』)の体験もしている。そのあたりも踏まえて弾丸ツアーについて直撃インタビューを行った。
今回ブラジルで教わって、または体験してためになったことは何ですか?
今まで映像・書籍等での情報として持っていたものを、実際にこの目で確認する事で確かなものとして脳に焼き付ける事が出来ました。この五日間で指導者としての感性はものすごく高められたと思います。このままの状況で半年、一年間でも勉強する事が出来れば、かなりの度合いでレベルが上がるのではないかと思いました。
ブラジルでプロ監督の指導を受け、プロ選手とともに練習し、プロの試合を観戦した感想を教えてください
一番に感じた事は「動けない。(どう動いていいのかわからない)」でした。別に体力がどうこう言ってる訳ではありません。次へのプレーに対して最善の位置に走り込む彼らの「動きながらの思考力」に比べ、自分の思考力の低さを痛感させられました。また、彼らのプレーを間近で見ると、トップスピードの中で正確なボールコントロールが出来る。ボディバランスの重要性も強く感じました。

日本の指導者講習会も質の高いものが開催されていると思います。しかし、何となくですが私が違和感を感じたのは、日本では指導指針・指導教本などが有りそれをベースに行われると思います。また、日本では講習会でも練習でも始めと終わりにケジメをつけるというか「セレモニー」的な事がありますが、こちらは何となく始まり何となく終わるというスタイルの様です。私達日本人参加者は律儀なので、何か合図があるまではいつまでも待ち続けていました。反対にブラジル人は、ボールを使って遊んでいたかと思ったらいつの間にか監督・コーチのもとで練習を始めていたり、トレーナーのもとでウォーミングアップを始めていたりと、on&offをうまく切り替えていました。
「試合で高いパフォーマンスを発揮する為の練習」
到着して早々にトップチームに混ぜてもらってのゲームを体験し、その中で数々の疑問が発生してきました。そしてその後の三日間でトップチームの練習見学、(元?サンパウロFC総監督の)ニコリーノ先生と(パルメイラスの)ヴァウミール監督の講義、実際に選手に混ざってのトレーニング。最後にまとめとしてトップチームの試合を観戦する中で今までのトレーニング成果の確認をしました。
ヴァウミール監督が講義してくれた事が(試合で)実際に現象としてあらわれていてすごく勉強になりました。
(試合は)結果的には追いつかれて2対2の引き分けとなりましたが、ヴァウミール監督の戦術・監督としての駆け引きを見ることが出来た事も勉強になりました。
(賢翔君との)親子参加で良かった事、楽しかった事、大変だった事は?

宿舎でくつろぐ賢翔君
私の妻のお腹の中の小さな生命が男の子だと知って以来、「息子と一緒にブラジルに旅をする」というのが夢でした。その息子も異文化に触る事が出来、人間としての感性を高められたと思います。
そして何より息子がブラジルを好きになってくれた事を嬉しく思います。
その反面、大変だったというより一番に考えた事は息子を無事に日本に連れて帰る責任と義務でした。
今回は、出発直前まで「本当に行くべきか?それとも行かざるべきか?」自問自答しました。自身の参加はさておき、いくら本人が行くと言ったとはいえ、まだ12歳の子供に対して大人でもキツイと想像される日程をこなせるのか?あまり治安の良くないとされる国に連れて行って大丈夫なのか?それで親としての責任と義務が果たせるのか?を考えると、悩むのもやむを得ないのかもしれません。案の定、初日は息子の顔は硬直、しゃべらない、食欲もない状態でした。親の私でさえお手上げだったのですが、(リーガ天竜の)マリオ安光、(ツアーの手伝いをした)アルベルト田港の両氏、そしてパルメイラスへ留学している日本人の「シュウ」が本当に良く面倒を見てくれたおかげで、二日目以降は選手と一緒のメニューをこなせるほどに調子を取り戻しました。それに伴って監督・選手にも良くなつき、日程が進むにつれてみんなのマスコット的な存在になっていました。
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| パルメイラスのジュニア(12・13歳クラス)でも練習した賢翔君 |
今回のツアーを通じて、息子さんに是非吸収してほしい事は?
「縁」です。人と人との出会い、ふれあい、付き合いの大切さ。
今回、ブラジルという異文化と出会いました。ブラジルで色々な人達に出会いました。
その全ての「縁」を大切にするという事を、理解そして吸収してほしい。
その他、弾丸ツアーで印象に残っていることを教えてください。
本当に「弾丸」でした。この五日間のフットサルについて学んでいる時間というのは、二週間分に相当するのではないかと思うくらいの濃さでした。プロ選手と同じ練習メニューの消化、時には深夜にかかるまでの勉強などなど、「弾丸ツアー」改め「ダイハードツアー」でもいいのかもしれないと思った事もありました。まぁそれは冗談ですが、「ブラジルの中の日本」を築いてこられた先人達の苦労に比べれば全然キツイ事ではないのかもしれません。
本当にこのツアーでブラジルフットサルに対して、濃厚で熱い時間を過ごす事が出来ました。この気持ちをうまく表現出来ませんが、強いて例えるなら、「愛する人に対する想い」という感じでしょうか?
いつもやさしく、時には厳しく、嫌な顔一つせず我々を受け入れてくれた、パルメイラスのヴァウミール監督始め選手・スタッフの方々、サンジューダス・タデウ大学のニコリーノ先生と生徒の皆さん、ブラジル滞在中に世話をしてくれたマリオ安光・アルベルト田港をはじめとする皆さん、一緒に行った佐間田さん・高橋さん、本当に御世話になりました。

講師のヴァウミール監督と
そして、遠い昔にブラジルへ渡った叔父さん・叔母さん・いとこのデルザとカオリ、たった数十分だけでしたが再会出来た事嬉しかったです。みんなには本当に感謝しています。ありがとうございました。
賢翔へ、よく勇気を持ってブラジルへ行く事を選択してくれました。今回の旅で成長した姿を見せてくれた事を父親として嬉しく思います。快く息子と旦那を送り出してくれた妻の祐子にも感謝します。
最後になりましたが、今日の「ブラジルの中の日本」を築いてくれた先人の方達の努力に敬意と感謝の意を表します。
突撃インタビューはこれにて終了。倉西さん、どうもありがとうございました。
【写真とテキスト】 Interfutsal